











写真:北村 徹
慶応3年の創業以来、およそ160年にわたり伝統の味を守り続けてこられた「山田屋まんじゅう」様。その新たなる歩みとなる「はなみずき店」において、りくうは従来の和紙制作・デザインの枠を超え、空間全体のアートおよびインテリアディレクションを担当いたしました。
本プロジェクトでは、社長様より「りくうに空間全体をデザインしてほしい」という特別なご依頼をいただいたことを機に、和紙メインアートの制作のみならず、コンセプト立案、インテリアコーディネート、そして他工芸との実制作に至るまでをトータルに手掛けております。
愛媛の工芸を再編し、郷土の美意識を響かせる
店内には、愛媛が誇る工芸素材や技術を随所に擁し、郷土の美意識が共鳴し合う空間を構築いたしました。 照明には、創業の地・西予市野村町が誇る希少な絹糸「伊予生糸(いよいと)」を丁寧に手織りした布を用い、日本建築の美しさを引き立てる「絹貼り行燈」を制作。また、空間の要となるロゴマーク「梅鉢」には、3D技術で制作した土台に西条市の田中漆工房による漆塗りを施すなど、異なる工芸分野を横断したディレクションと意匠設計を幅広く手掛けております。
「草」の室礼と誠実な菓子作り
空間の核となる和紙のインスタレーションは、名菓の薄皮のような繊細な佇まいに呼応し、清々しい気配を湛えます。 今回の室礼(しつらい)においては、あえて装飾を最小限に留め、和紙、絹、漆と親和性の高い、軽やかな水引や竹を選定しました。これらは茶道の美学において、素材の生命力を尊ぶ「草(そう)」の道具たちです。
自然を敬い、素朴な美しさを愛でるこの精神は、良質な素材を極限まで磨き上げる山田屋様の哲学と重なります。水引から竹細工に至るまで、手仕事が持つ温かみは、お客様に「誠実な菓子作り」を感じさせ、心からくつろげる時間を提供します。
新たな表現領域「デザイン・アートインテリアディレクション」の本格始動
伝統工芸に新たな息吹を吹き込み、空間全体を一つの物語として構築する。 和紙の制作・デザインで培った感性を軸に、多様な伝統技術や素材を統合し、建築空間に最適化させる。りくうは本案件を機に、デザイン・アートインテリアディレクションという新たな表現領域を本格始動いたしました。
お包みを待つひととき、愛媛の素材が織りなす静謐な時間をどうぞお楽しみください。
















写真:北村 徹